概要
Visium(10XGenomics社)の空間トランスクリプトーム(Spatial Transcriptomics)技術は、全mRNA情報をもとに組織内の細胞分布や遺伝子発現パターンを明らかにする注目の解析技術です。この技術では、FFPEや新鮮凍結組織の形態学的情報をトランスクリプトーム全体と統合して解析します。これにより、組織全体の遺伝子発現パターンを可視化し、細胞間の相互作用や空間的な構造との関連性を明らかにします。
疾患の病理学的研究、臨床応用研究、発生学などにおいて有用な解析技術です。
理研ジェネシス Visium空間トランスクリプトーム解析の強み
- ハイスループットなアッセイ系で数千検体規模の調査・コホート研究に対応
- 様々な機関から認められた品質保証で医薬品開発にも対応
- 経験豊富なスタッフによる安心のサービスとサポート体制
- 検体は凍結組織やFFPEブロックでも受け入れ可能、切片作製サービスあり(オプション)
特長
- 空間トランスクリプトームの実現
Visiumは、網羅的な遺伝子発現データを組織の空間情報と統合することで、組織内の構造的特性を可視化します。組織切片を用いた分析により、細胞の位置情報と遺伝子発現パターンを同時に取得します。
- 多様なサンプルに対応
ヒトとマウスに対応し、正常、疾患組織を問わず、幅広い応用が可能です。FFPE・固定組織に対応しています。
* 新鮮凍結組織をご希望の場合は、別途ご相談が必要です。
- 高解像度なデータを取得
高密度スポット(1スライドに数千スポット、Visium HD)により、1細胞レベル程度の高解像の遺伝子発現データを取得します。そのため、微細な局所環境の解析も行うことができるようになりました。
- 直感的なデータの可視化
10xGenomics社が提供する専用のソフトウエア Loupe Browserを使用して結果を視覚的に確認できます。
取得データは他のデータ解析ツールとの互換性もあるため、カスタマイズの解析を実施することも可能です。
- 多くの研究分野での活用
がん研究、神経科学、発生生物学、免疫学など、幅広い分野でご活用いただけます。疾患メカニズムの解明や新規バイオマーカーの発見に寄与します。Visiumは、組織レベルでの遺伝子発現解析を革新し、次世代の研究を支える強力なツールです。
Visiumスライド一覧
本サービスでは、Visium HDとVisium v2を取り扱っています。
mRNAの 検出方法 |
Visium スライド |
キャプチャー領域 サイズ |
アレイの構成 |
生物種 |
検出できる 遺伝子数 |
CytAssist対応 プローブベース ケミストリー (FFPE用) |
Visium HD |
6.5mm x 6.5mm |
位置情報を2 x 2μmの正方形で隙間なく取得、 データは2μmおよび複数のbinサイズで出力 メーカー推奨解析binは8 x 8μm(fig.1) |
ヒト |
約18,000 |
マウス |
約19,000 |
Visium V2 |
6.5mm x 6.5mm 11mm x 11mm |
位置情報を直径55μmの円形で取得、 円中心の距離は100μm(fig.2) |
ヒト |
約18,000 |
マウス |
約19,000 |
サービスの流れ
国内ラボにて、Visium CytAssistを用いてFFPE切片からライブラリーを作製し、次世代シーケンサーでデータを取得します。(
fig.3)
ご提出検体の種類によって、3パターンのメニューをご用意しております。(
fig.4)